日本酒塾

【日本酒塾】春酒 インプレッション5

新緑の頃
新入荷酒のご紹介。

◎ 白露(はくろ)垂(すい)珠(しゅ)  雪女神 山形酒104号 純米大吟醸 原酒 

・使用米 雪女神 (山形酒104号)
・精米度 39%  ・アルコール度 17.5%  ・使用酵母 山形酵母
・日本酒度 -1 ・酸度1.5 ・アミノ酸度0.6
・仕込水  蔵内湧出 月山深層天然弱アルカリ無菌 高水素シリカ波動超軟水

山形県鶴岡市。
雪女神は大吟醸新時代を切り拓く鶴岡で誕生した山形酒造好適米です。
現在、酒造好適米の王様は山田錦です。酒米としてのポテンシャルは他を凌いでいます。山形県を挙げて打倒山田錦を掲げて新開発されたのが雪女神です。
酒造好適米「出羽の里」を父に、「蔵の華」を母に掛け合わされた品種(試験作付中は山形酒104号)。2016年3月に農水省に品種登録し作付けも同年から。
竹の露ではデビューから初出品の2016年全日本新酒鑑評会で純米酒での金賞受賞。県として2017年から「雪女神」と正式に命名。
中心高濃度型心白を揃え持つこの米は極めて砕けなく素タンパクが少ない為、クリアーな味わいに仕上がる充実した地方米。
山形県農業技術研究員のたゆまぬ情熱が実現した究極の酒米です。

一口含んだ瞬間に「アッ、この酒は・・・」と思いました。
立香は優しげ。
含み香は白ぶどう、上白糖、ライチ、オレンジ等で強過ぎ無い大人の雰囲気。
味わいは高精米(39%)から来る洗練さ、上品さ、しなやかさ。新酒から来る躍動感、若々しさ。
ボリューム感は程々・・味わいに重さは微塵も無い⇔軽すぎる事も無い ⇒非常にバランスが整っている。
雪女神の優しげな甘味と酸の働きは見事です。今までの金賞受賞酒とは一味違う方向性を感じさせてくれます。
対山田錦としての戦闘力はかなりの物です。また、寒冷地域の山形県ならではの線のしなやかさと透明感はまるで山形美人の様です。
雪女神のポテンシャルの高さと竹の露のたゆまぬ日々の研鑽がこの酒の旨さを醸していることに感謝したいと思います。こんなに良い酒が飲めることに幸せを感じます。
まさに五味調和。大人の美酒としてお飲み頂きたいと思います。
※私的に好印象

◎ 白露垂珠 どらごん 辛口活性発泡にごり 本生 無濾過

・使用米 美山錦/出羽きらり
・精米度 65%  ・アルコール度 14%
・日本酒度 +2 ・酸度0.9 ・アミノ酸度0.6
・仕込水  蔵内湧出 月山深層天然弱アルカリ無菌 高水素シリカ波動超軟水

山形県鶴岡市。
静置したこの酒はオリが沈澱します。瓶内でおよそ半分が白いオリの部分。
どれだけ濃い味わいなのかと思いますが、ご心配要りません。
想像を外す軽快でドライな味わいです。
立香は殆ど感じない。含み香はオリから来る麹香が少し。
味わいは活性から来る刺激が舌にきます。オリから来る重たさは皆無。品の良い酸が味わいを引き締めている。米の旨味しっかり感じて、しかしとてもドライで後半にしっかり切れ味を感じ食事ともよく合うと思います。特に肉物との相性は良さそうに思います。
後口に酒が残らないことにビックリしました。
鴨のロースト オレンジソース掛けと合わせてみたい。
※私的に好印象

◎ 〆張鶴  純米吟醸

・使用米 越淡麗
・精米度 50%  ・アルコール度 16%
・日本酒度 +2 ・酸度1.4

新潟県村上市。
越淡麗は新潟県が平成元年から16年かけて研究開発した酒造好適米です。
打倒山田錦を目指し父方に「五百万石」母方に「山田錦」を掛け合わし両者の長所を併せ持つ酒造好適米として誕生しました。

立香は弱め、含み香はクリーム系、柑橘系でレベルは弱い。
味わいは全体として線細く感じられるが後半の切れは良好。
米の旨味、膨らみうっすらと感じ、酸は程よく働く。
バランス良く五味調和、食中にポテンシャルを発揮するタイプ。食事がしたくなる酒。
飲むほどに旨く、普通に旨い⇔とても素晴らしい特性と感じています。
どんな料理とも相性良さ気な良酒と感じます。

◎ 緑 川  霞しぼり 吟醸 搾りたて生

・使用米 北陸12号
・精米度 60%  ・アルコール度 16.5%
・スペック詳細不詳

新潟県魚沼市。
現在、希少な酒造好適米。
1926年に新潟県農業試験場で育成。現存する酒米として最古の品種。
現在、国内の二蔵のみで使用している。

立香は弱め、含み香は柑橘系・・パッションフルーツの様な香りが漂う。
味わい、米の甘味を感じるのと同時に柑橘系の酸が全体を回り出し後半に向けて切れが加速する。余韻は比較的長く感じる。
酸の働きは強くないが味全体の引き締めは良好。
食中良し。ワイングラスで楽しむのも一考です。
飲むほどに食べたくなる酒と感じました。