残暑の頃
新入荷酒のご紹介。
- 本 金 雨上がりの空と 純米
・使用米 しらかば錦
・精米度 59% ・アルコール度 16%
・スペック詳細不詳
長野県諏訪市。
宝暦6年、創業者である宮坂伊三郎が酒株を譲り受け酒造業をはじめたのがはじまり。屋号は志茂布屋(しもぬのや)。当時、上諏訪町(今の諏訪2丁目のあたり)には13軒の造り酒屋があり、その内の1軒でした。
平成に入り、現在本金の製造量は100石強の極小量、杜氏は平成20年より蔵元である宮坂恒太朗へと引き継ぎ、「本金」のブランドに込められた「本当の一番(金)の酒を醸す」ことを目指し努力を続けています。
本金九代目蔵元 宮坂恒太郎氏より・・・
私が思い描く本金の味のコンセプトは「すっと飲みやすい」「程よく味と香りが膨らむ」「主張しすぎない」という3つが挙げられます。特に3つ目の「主張はしない」についてですが、本金の日本酒はあくまで食事や人と人のコミュニケーションのための酒であるべきだと思って作っています。そのために、ある意味お酒としてはより地味であることを目指しています。
今の時代に沿った「届け方・売り方」の試行錯誤と「本金の味」の追求を続けていく中で、僕が一番大切にしたいことは、とにかく「幸福」であるということ。人を幸せにする。本金はそのためのお酒を作ります。幸せにする相手はもちろんお客さん、つまりお酒を飲む人ではあるのですが、この小さい酒蔵に関わる社員や酒販店の方、ファンの皆さんもみんなひっくるめて「本金で幸せにする」ということが今の一番の目標です。
一日の終わりに家族や友人と「じゃあ本金飲むかぁ」って、あたたかさと幸せの源にうちのお酒があれば最高だと思っています。
一口含んだ瞬間に「アッ、この酒は・・・」と思いました。
立香はあまり感じない。含み香はラムネ、白ぶどう、パッションフルーツ等で穏やかにそしてしっかりと香ります。
味わいは何と言っても食中での存在感です。酸の働きがこの上なく素晴らしい。味わいの骨格をはっきりさせながら食べ物の旨さを引き出してのど越しの切れは素晴らしい。ある意味洗練された上品さとしなやかさ。とても飲んで心地よい酒です。
本金は同じ諏訪の真澄の親戚筋になるとの事。使用する酵母は真澄の七号酵母。超極小蔵ですが実にコンセプトのしっかりした造りと味わいに毎年良い蔵だなと感じています。
九代目蔵元は難病のために現在造りの仕事はしておりませんが私なりに応援させて頂きたいと思っております。
※私的に好印象
- 高千代 大辛口 純米無濾過生原酒 おりがらみ
・使用米 美山錦
・精米度 65% ・アルコール度 18% ・使用酵母 G9
・日本酒度 +19 ・酸度 1.5
新潟県南魚沼市
日本百名山の一つである巻機山の麓に蔵元はあり、越後三山の南側、谷川連峰の北に位置する巻機山は四季折々の魅力的な姿を見せてくれます。
巻機山の湧水は、数値の高い極軟水 (不純物の極めて少ないやわらかい水) です。
巻機山の峰々に降り積もった雪は、100年以上もの年月をかけて約2000メートルの自然の濾過機を通って浸透し湧き出で、清酒「高千代」の「飲み飽きしない自然の旨味を味わえるなめらかな酒質」をつくっています。
約150年の歴史を経て今日の高千代の造りは、より品質の高いものを作り出すことを目指し、昔ながらの手作業による吟醸造りを行っています。
静置したこの酒はオリが沈澱します。瓶内で底に1cmほどが白いオリの部分。
オリならではの濃い味わいなのかと思いますが、ご心配要りません。
想像を外す軽快でドライな味わいです。
立香は殆ど感じない。含み香はオリから来る麹香が特徴。
味わいはオリから来る重たさは皆無。良い酸が味わいを引き締めている。美山錦の優しい旨味しっかり感じて、後半にしっかり切れ味を感じます。
滅多にお目にかかる事の無い+19、ただ辛いだけの酒ではなく米から醸されていることを再確認できる酒質です。
- 石 鎚 夏吟 吟醸 槽搾り 生詰
・使用米 山田錦/松山三井
・精米度 50/60% ・アルコール度 15%
・日本酒度 +2 ・酸度1.7
創業は、大正9年。 現在社長を務めます、越智英明の祖父にあたる越智恒次郎の手によって、愛媛県西条市氷見に蔵を構えました。
酒蔵の位置するこの地は、西日本最高峰「石鎚山」のふところで名水の町として呼び声の高い愛媛県西条市にあり、仕込み水にこの石鎚山系の清冽な水を使用、西条・周桑平野の穀倉地帯を控えており、酒造りに非常に適した気候、風土の中にあります。昭和5、6年頃には (当時の石鎚酒造(株)は備中杜氏が酒造りを司っていた。) 50%精白の備前旭米を使用した吟醸酒「黒松」が高品質の日本酒として人気を誇っておりました。その当時、普通酒は1.8L詰め瓶(一升瓶)60銭であったのに対し、これを2円50銭で販売しておりましたように、いかに醸造元として自信を持った酒であったかということが想像できる訳です。
時代の移り代わりによってできました伝統は、今日まで引き継がれ、現在でもこれを生かした「手造り」の酒を念頭に、日本酒の品質向上、研鑚に努めて、地元地域をはじめとするお客様に育てていただいております。
なお、平成11酒造年度より、杜氏・蔵人不在のなか、4人の家族中心での酒造りに転換しました。
「夏吟」と名前の付く酒は初夏を迎えると色々な蔵からリリースされます。
石鎚の夏吟に使用されている米は麹米に阿波山田錦の特等米で精米歩合は50%。
掛米には愛媛県の酒造好適米、松山三井で精米歩合は60%。「石鎚」こだわりの組み合わせです。
立香は控え目で穏やか。
含み香は南国系、まだ固めの果物の香りに乳製品の香り、ほのかにラムネ香も感じます。飲むと軽やかさと穏やかさが広がります。
飲み口は軽すぎず、重すぎず絶妙なバランス!
また、尻切れの酸の良さが、味わいに深みを出しています。
毎年お世話になるこの酒は食事や会話をとても旨くします。あっという間にグラスの酒がなくなります。
まさしく夏酒の本命だとお勧めいたします。
※私的に好印象
- 瀧自慢 夏吟醸 吟醸 生詰
・使用米 山田錦/神の穂
・精米度 50/55% ・アルコール度 16%
・日本酒度 +7 ・酸度1.2
三重県名張市
明治元年創業。国定公園「赤目四十八滝」の麓に蔵があります。地元の山田錦をふんだんに使い、香りと含み香たっぷりの良酒を醸します。吟醸企画の酒は全て瓶火入れの方法をとり、一本一本、湯煎方式で熱殺菌をし、その後、出荷まで冷蔵管理で低温熟成を行っています。
また蔵元自ら杜氏となり酒造りに取り組み、酒質設計通りのお酒をきっちりと造り上げます。そのためいつ飲んでも期待を裏切らない安定感があります。
三重県の蔵の中でも全国区の人気を誇り、どのお酒を呑んでも御満足頂ける仕上がりです。近年は全国新酒鑑評会で何度も金賞に輝くなど今、注目の蔵の一つです。
吟醸香は高めで鼻をくすぐります。山田錦の気品ある含み香と、神の穂特有の滑らかな口当たりが、 絶妙にバランスした夏向きの吟醸酒。爽やかな飲み口、アル添酒ならではの切れの良さ、 飲むほどに拡がる柔らかな余韻は、 厳しい暑さに疲れた体を癒します。 きりりと冷やしてご賞味頂くと最高です。
しかもこの蔵のお酒、先の伊勢志摩サミットで二日目の昼食の際に乾杯酒として世界のVIPに楽しんでいただきました。
※私的に好印象
- 大典白菊 夏吟醸 吟醸 生詰
・使用米 山田錦/朝日米
・精米度 60% ・アルコール度 14%
・日本酒度 +4 ・酸度1.1
岡山県高梁市
蔵の創業は明治19年(西暦1886年)備中国川上郡成羽村にて渡辺廣太郎により創業。「白菊」を醸造しておりました。時代を経て昭和3年、銘柄に「大典」を付し「大典白菊」としました。
蔵のある備中地域の高梁市成羽町は小高い山々が連なる吉備高原の山あいにあります。町の真中を県下三大河川の高梁川の支流、成羽川がゆったりと流れ、周囲を山々に取り囲まれた山紫水明の風土を持っています。又、300年の伝統を誇る花火や、無形文化財の備中神楽、地質学的に有名な動植物化石、べんがら(赤色の顔料)で栄えた旧い町並みなど多くの史跡、文化が息づいており歴史と伝統が色濃く残る町となっています。
柔らかく優しげな吟醸香。一口含むと優雅な味わいが広がります。
アル添感を感じません。舌の上をまるでビロードのように駆け抜けていきます。
久しぶりの舌触りに嬉しくなりました。山田錦の使い方は流石ですね。
こんな吟醸があることに感謝の酒と思います。
※私的に好印象
- 羽前白梅 純米 無炭素濾過 生詰
・使用米 美山錦
・精米度 50% ・アルコール度 16%
・日本酒度 +5 ・酸度1.4 ・使用酵母 山形酵母
山形県鶴岡市
創業は1592年(桃山時代)、豊臣秀吉が没する6年前。
山形県で最も歴史が長い酒蔵。蔵元の羽根田家は関ヶ原の合戦の頃、多くの近江商人と共にこの地に移り住んできたと言われています。
山形県鶴岡市の大山地区は、昔から酒造りの盛んな土地だったそうですが、現在残っているのは、羽前白梅を含めて三軒のみ。
その中でも最も規模が小さいのがこの蔵です。
表玄関は普通の住宅のように見えますが、「志ら梅」と書かれた古びた看板が申し訳程度にかかっていますが、これがなかったら、まさかここが酒蔵だとは思えません。
この蔵の特徴は、とにかく熟成が遅いこと。1年くらいでは全く味が乗ってきません。もし冷蔵庫で保管するなら数年は必要。しかし、味が乗った白梅のお酒は絶品。派手ではないが上品な香りがほのかに漂い、口の中では柔らかくふくらむ味わい。それでいて決してもたつかず、喉を滑っていきます。
立香は穏やかで微か。含むと米由来の麹香、炊き立ての白飯の香り。
コメのうまみが凝縮された味わいとまろやかさはこの酒の真骨頂。その中に渋感が漂い味わいのアクセントになっている。
精米歩合や造りから見れば純米大吟醸を名乗ることも可能です。
高精白の純米酒にありがちな、腰が弱く軽くライトなものとは全く正反対の酒。
しっかりした米のコクと旨味がたっぷり含まれた濃醇な純米酒。
炭素濾過を一切しないにもかかわらず雑味のないシャープで澄んだ味わいの酒を造り出す。造りの精度は素晴らしい。
※私的に好印象