日本における最初の酒は縄文時代(1万2000年前頃)の山ブドウから造られたワインであったと言われています。
弥生時代(紀元前5~紀元後3世紀頃)に入り稲作が伝来し、米による酒造り、つまり日本酒造りが始まったと思われます。
若い巫女が生米を噛んで唾液と混ぜたものを発酵させた「口噛みの酒」が起源という説や、神様にお供えした米がかびて水に浸り、偶然発生したのが始まりなど、元々が神事のための物であったことは確かなようです。
奈良時代(710~794)の文献によると、朝廷内に「酒部(さかべ)」と呼ばれる酒造りの部署があったと記されており醸造体制が整い酒蔵技術が一段と進んでいった。この頃はまだ、10日前後で出来上がるごく薄めのお酒でした。
その後の平安時代(794~1185)から鎌倉時代(1185~1333)にかけて、仕込みの方法が改良されて現在のような濃度の「諸白」という清酒が造られるようになります。
酒造技術が寺院(僧坊酒)や造り酒屋(京都を中心とした)に受け継がれ生産量が増加していったことを考えると、早くから嗜好品として楽しまれていたようです。
酒の流通量が増えて武士の中には酔った上での殺傷事件多発に建長4年(1252)には日本初の禁酒令が発令されています。
そして室町時代(1334~1493)には、設備や技術の関係で主に京都周辺でのみ造られていたお酒は、大量生産のできる「十石入り仕込み桶」の発明を受けて次第に地方へと広まり、戦国時代(1493~1600)には現在の大阪や兵庫で地酒文化が華開き一般大衆にも流通していくのです。